気持ちのいいそよ風が吹きぬける草原、その草の間から、鮮やかなピンク色が覗く。
ピンク色のまるい、ふにふにとしたものがチョコレートを持っている。
ともすればボールか何かと間違えそうだが、それには短いながらも手足があり、つぶらな二つの目と小さな口が付いている。
鼻や耳は確認できないが、おいしそうな匂いに釣られていくし、音も聞こえるようだ。
その、ボールのようなものは、星のカービィと呼ばれている。
とある星の危機を救うほどの力を持つも、普段はおっとり、ぼんやりしているピンク色の丸い生物。
そのカービィがチョコレートを手に、座り込んでいた。短い足を前に放り出して。
以前、この世界が消滅しそうになった時、力を合わせた仲間の一人であるピーチ姫が、穏やかな微笑みと共にカービィにこれを手渡した。
なんてことない、一枚の板チョコだ。キノピオ印のキノコ王国産と記されているがカービィには何と書いてあるのかよくわからない。
カービィは人の言葉を話すことができない。が、姫の言うことはなんとなく理解できた。
バレンタインデイなのだそうだ。
カービィはそもそも、「ばれんたいんでい」というものが何なのかわからない。それっておいしいの、といった具合である。
かと言ってこのチョコレートが「ばれんたいんでい」という名前である、といったわけでもなさそうだ。
姫は他の仲間である、ルイージだとか、リンクだとか、フォックスだとかにも同じようにチョコレートを渡していた。
ただマリオにあげたのだけは、他の仲間にあげたのよりちょっと大きい気がする。形もハート型。どうしてマリオだけ違うのだろう。カービィは不思議に思った。
しばらくそうして考えていると、ふにふにしたピンク色の隣にふさふさした青色が腰を下ろした。手には同じく一枚の板チョコ。
カービィが青色を見上げる。一見二足歩行の狐か犬かといった風貌をしているが、彼らの世界ではこういう生物を総称して「ポケモン」と呼ぶのだそうだ。
同じ仲間であるピカチュウやプリンと同じ世界から来た、彼の名前はルカリオという。
ルカリオはカービィの頭をぽんぽんと軽く叩く。きっと彼なりの友好の印だ。ひょっとするとカービィが子どものようだから、つい子どもにするように接するのかもしれない。
カービィはルカリオに、「ばれんたいんでい」についてを尋ねてみようかと思った。ルカリオはなんだか物知りそうだ。
見上げると、ルカリオはチョコレートを齧っている。あんまりおいしそうに食べるのでカービィは彼の言葉で、好きなの、と尋ねてみた。
ルカリオはカービィの言葉を理解するらしい。なんだかよく解らないけれど、伝わっている事だけは感じるのでカービィはそれでいいと思っている。
間もなく、好きだよ、と答えが返ってきた。
会話はそれきり終わってしまったけれど、カービィはチョコレートの包装紙を開けながら思う。
まあいいや、「ばれんたいんでい」なんて。チョコレートがおいしいくて好きだってことには、かわりないんだもんね。
ピンク色の丸い生物に考え事や悩みは無用なのだ。
カービィは包装紙をすっかり剥がしたチョコレートを、一口で飲み込む。彼の口が何倍にも開くのでルカリオは、思わず目を見張った。






なぜかスマブラです。おもしろいですねー、スマブラはやっぱり…
Xやった記念、バレンタイン記念でした。なぜこの二人か…ずばりなんとなくです。
ところでカービィって彼なんですかね?彼女?



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